想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
また体調が悪くなったんじゃないか気が気じゃない。
さすがに女性専用の洗面室に入るわけにいかず、待っていると少しして今にも倒れそうな姿の恵理が出て来た。

「おいおい。」
真っ青な顔でふらついている恵理をすぐに支える宏貴。
「どうした?」
「・・・気持ち悪い・・・吐いた・・・」
「え?どうしたんだよ。」
恵理が何も口にしていないことは知っている。

宏貴は恵理を支えたまま、作業スペースのソファに運ぶ。
恵理はソファに着くと自分から体を横にした。

「気持ち悪い・・・」
「大丈夫か?」
宏貴は恵理の靴を脱がせて、体の上に毛布を掛けた。

「だめ。寝ちゃうから。仕事しないと・・・。」
ろくに数日眠っていない恵理は毛布を宏貴に押し戻そうとする。
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