想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「ばか。少し休め。仕事できるような状況じゃないだろ。」
「でも期限だし。頑張らないと。」
恵理はそう言いながらも動けず、目も開けられないような状況だ。

「病院、行こう。」
宏貴が荷物を用意しようと立ち上がると、恵理が止めた。
「無理。今動くのは。無理。」
「そっか。ちょっと落ち着いたら病院行こう。」
「・・・仕事・・・」
「恵理」
恵理の気持ちが分かる宏貴。
もう一度恵理の横になるソファの横に膝をつく。
恵理の乱れている髪をかき上げて、真っ青な顔を見る。
「ちゃんとやりたい。最後までやりたい。でも、気持ち悪い。」
葛藤している恵理に宏貴は罪悪感でいっぱいになる。

遅かった。恵理にストップをかけるのが遅かった。
「ごめんな。ちゃんとフォローできなかった。」
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