想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「わた・・・」
「うん。」
恵理は震える声で話そうとする。

それだけでも十分だと心の中で言う自分がいる。

こんなに震えながらも、そばにいる自分に伝えようとしてくれるだけでも十分だとも思う。

でもちゃんと知らないと、恵理を支えられない。

自分を落ち着かせながら恵理の声に全神経を集中させる。

「私・・・ね・・・」
「うん」
「・・・」
「ゆっくりでいい。大丈夫。ゆっくりで。」
うまく言葉にしようとしているのか、口にすることがそれほどに緊張することなのか、恵理の震えが一層ひどくなり、心配になる。
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