想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
恵理がなぜ謝り続けているのかわからない。

「なんで謝るんだよ。どうしてそんなに謝るんだよ。俺は」
宏貴が俺はうれしいと素直な気持ちを伝えようとした言葉を恵理がさえぎる。

「産めない。」

宏貴は言いかけていた言葉を飲み込む。

「私、産めない・・・。産めないよ・・・ごめん・・・ごめんなさい。」



すべての関係が壊れると思った。
その一言で、宏貴の心は離れていく。
プロポーズに何度もこたえず、曖昧に返してきた自分への罰だ。
恵理はこうして宏貴が抱きしめてくれるのも最後かもしれないと思いながら目を閉じた。
すべての感覚で宏貴を刻み込みたい。
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