タングルド
スマホを持つ手に大きな手が重ねられた。

すっーと、波が引くように震えが止まった。

呼吸が荒い、急いで来てくれたことが解った。
「大丈夫か?とりあえず出よう」

泣きじゃくりながら茂に抱き抱えられて店を出たAyaの姿を思い出した。

嫌だ

あんな姿

「大丈夫、一人で歩けるから」

差し出された手を断り一人でしっかりと歩く。

右足、左足、大丈夫、平気

ひそひそと様子を伺う人たちの間をゆっくりとそしてしっかりと歩いて店を出た。

賢一は外に出るとすぐに肩を抱いて支えてくれた。

「ありがとう」

「色々と聞きたいことはあるがまずはタクシーに乗ろう」

そういうとファミレスの駐車場に歩き出した。

「なんとなく切羽詰まった感じだったからそのままタクシーを待たせておいた」



どんな時でも冷静なんだ、でもすごく安心する。
< 129 / 226 >

この作品をシェア

pagetop