タングルド
<嫉妬と誤解>
スリーピースをパリッと着こなした賢一にエスコートされて乗り込んだ車はグレーメタリックのレクサスだった。

以前、もう一台車があると聞いていたがまさかのチョイスだ。

まぁ、来月には副社長に就任するのだから当然と言えば当然なのかもしれない。

そして、ハンドルを握る賢一は機嫌が悪そうだ。

「で?あれは何?ナンパ?それとも合コンだった?だから、ギリギリまで俺に言わなかったのか?」

「本当に同窓会、同じ科目を取っていた仲間のうち交流があるメンバーが集まったの」

「それで、あんな風になる?元カレとか?」

一瞬、喉が鳴りそうだった。
元カレに裏切られた話はしているし、誤魔化す方が変に勘ぐられそう。

「そうよ、前に話た元カレ。私を裏切ったね」

「ふ〜ん、そんな風には見えなかったけど?やり直したいとか言っていたみたいだけど?自分が元カレに会うから俺の元カノのことが気になった訳?」

なんで、こんなに突っかかるんだろう?
「もしかして、嫉妬してるとか?もう、とっくの昔に終わってる人に?」

「そんなのどうかわからないだろ」

2ヶ月という期限があるとしても、今は賢一の恋人だ、それなのに浮気をするんじゃ無いかと疑ってる?

「あなたがそれを言うの?」

「え?」

「婚約者がいるくせに期間限定で浮気をしているあなたがそれを言うの」
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