タングルド
中学生と高校生の付き合いは住んでいるところも遠くなって中々会えない日もあったが、オレは兄さんがいることで彩さんを繋ぎ止めることができた。

そして彩ちゃんは、オレと付き合うことで兄さんとの繋がりを維持することができたから付き合ってくれていることはわかっていたが

それでも、良かった。

彩ちゃんの心には兄さんがいたとしても、身体はオレのものだったから。

兄さんに個人病院の娘とかいう彼女ができた。
彩ちゃんと比べると可愛いかもしれないが地味な人だった、きっと彩ちゃんもそう思っていたのかもしれない、しばらく機嫌が悪かった。
それでも、彩ちゃんはオレの恋人であることには変わりない、だからいつまでも兄さんを思っていても構わなかったのに、急激に伸びた業績のツケのように森川住販が手がけた住宅に次々と欠陥が報告されその賠償により民事再生か破産かの選択を迫られ、明らかに悪質な金融会社からの融資を受けざるを得なくなった寸前、彩ちゃんがオレに助けを求めてきた。
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