タングルド
銀行からの融資は悉く断られたところに現れたハレルヤローンの社長が彩ちゃんが後妻に入ることと森川住販を大幅に縮小することで融資をするという話が進んでいると言うことだった。
森川社長と話をしたが学生のオレでは話にならないと相手にしてもらえず、仕方なく彩ちゃんを助けてほしいと兄を頼って台湾に行った。

その時の兄さんの言葉は忘れられない。

「森川彩香はそこまでして助ける必要のある女性(ひと)なのか?新二は彼女と幸せになる未来が見えているのか?」

一体、何を言っているのか分からなかった。

「当然じゃないか」

兄さんはため息をつきながらも、すぐに一緒に帰国をして父さんと話をし、森川社長の元に向かった。

元々、彩ちゃんの家庭教師的なことをしていたことや次期ISLANDの社長になる兄さんから婚約の申し出を森川社長が喜んでいた。
自分の無力さに打ち拉がれたが、彩ちゃんが誰かのものになる事は無いという事実に胸を撫で下ろした。

それに、兄さんと婚約をしたとしても兄さんは台湾にいるし、恋人はオレなのだから。

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