タングルド
「副社長」

「副社長じゃない、二人の時は名前で呼べって言っただろう?」

賢一はデスクに私を座らせるとブラウスのボタンを外していく。

「えっと、こういうことはやっぱり会社ではダメだと思う」

「雪がリアルオフィスラブがしたいって言っていただろ?」

そう言って見つめる瞳はいたずらっ子のように楽しそうだか、ネクタイを緩めた姿はセクシーでそのまま身を預けそうになる。











「妄想と現実は違うの」

「やっぱり、俺が俺様社長じゃなくて副社長ってとこが引っかかる?」

「だから!そこでもないっ!」

「俺が社長になる頃は、もう雪は奥様になってるからオフィスラブ出来ないけど?」

「こんな落ち着かないところじゃ無くて、部屋で」

「そう?それは残念」と言いながらも嬉しそうに微笑んでから優しく口付ける。


「じぁ、俺たちの家に帰ろうか」
抱き抱えるようにしてデスクから下ろすと、もう一度、今度は深くキスをする。

「これ以上は運転に支障をきたすから、続きは帰ってから」


二人並んで地下駐車場に向かう。





あの日、辞令書に書かれていたのは、副社長付の秘書に任命すると言う文字だった。

< 200 / 226 >

この作品をシェア

pagetop