タングルド
「とりあえず、自称元カノさんってことでいい?」
「えっ、うん」
「自称元カノさんが姉ちゃんのことを泥棒猫とか言ったことはお義兄さんに説明してもらって嘘だったことは分かったけど、自称元カノさんはしばらく冷却期間を置いてから結婚するって。新が自称元カノさんと一緒にいたくて一緒に働くように勧めたって言ってた」
「は?」
多分、おれは今とてつもなく呆けた表情をしていると思う。
それほど、身に覚えがなさすぎて驚いてしまった。
「いやそれは無い。全てを無くした森川さんが可哀想だと思って同情した。森川さんは学生時代もアルバイトもしたことはなかったし、卒業後も仕事をしてなかったから、就職は難しいと思ったんだ。同情でもあり、おれを11年間見下してきたことへの小さな復讐でもあったんだ。おれが口利きをしてやったんだって」
「ちっさ」
花がぼそりと呟いた。
「小さい男でごめん」
「それでどうするの?自称元カノさんが新を好きだって言ってくるかも知れない。会社ではわたしなんかよりずっと長くそばにいるでしょ」
「パート社員だとしても、一度雇用をした人を私情で解雇はできないから。森川さんが自主的に退職するまでは同僚として仕事をして行くことになる。まさか、おれの浅はかな行動が今大切な人の禍になるなって思ってもみなかったから。これに関してはごめんとしか言えない。でも、森川さんにはきちんと言うから。この先、おれが森川さんに“情”を感じることは無いよ」
花の手を握って、しっかりと目を見つめる。
「おれは花が好きで好きでたまらない。これから先、何年かかるかわからないけどもう少し大きな男になるから。だから、ずっと一緒にいてほしい。花を愛してます」
赤く腫れた目に優しい光が灯る。
「避妊はちゃんとしてね」
まさかの言葉にきっとおれは埴輪のようになっているに違いない。
「独りよがりなことは絶対にしない。花が大切だから」
「じゃあ、過去ってことでいいんだよね?」
「もちろん。過ぎた過去はもうどうしようもないけど、未来は花と作りたい」
「うん」
二人で手を繋いで、兄夫婦がまつリビングに行き義姉さんに色々と謝罪をした。
「えっ、うん」
「自称元カノさんが姉ちゃんのことを泥棒猫とか言ったことはお義兄さんに説明してもらって嘘だったことは分かったけど、自称元カノさんはしばらく冷却期間を置いてから結婚するって。新が自称元カノさんと一緒にいたくて一緒に働くように勧めたって言ってた」
「は?」
多分、おれは今とてつもなく呆けた表情をしていると思う。
それほど、身に覚えがなさすぎて驚いてしまった。
「いやそれは無い。全てを無くした森川さんが可哀想だと思って同情した。森川さんは学生時代もアルバイトもしたことはなかったし、卒業後も仕事をしてなかったから、就職は難しいと思ったんだ。同情でもあり、おれを11年間見下してきたことへの小さな復讐でもあったんだ。おれが口利きをしてやったんだって」
「ちっさ」
花がぼそりと呟いた。
「小さい男でごめん」
「それでどうするの?自称元カノさんが新を好きだって言ってくるかも知れない。会社ではわたしなんかよりずっと長くそばにいるでしょ」
「パート社員だとしても、一度雇用をした人を私情で解雇はできないから。森川さんが自主的に退職するまでは同僚として仕事をして行くことになる。まさか、おれの浅はかな行動が今大切な人の禍になるなって思ってもみなかったから。これに関してはごめんとしか言えない。でも、森川さんにはきちんと言うから。この先、おれが森川さんに“情”を感じることは無いよ」
花の手を握って、しっかりと目を見つめる。
「おれは花が好きで好きでたまらない。これから先、何年かかるかわからないけどもう少し大きな男になるから。だから、ずっと一緒にいてほしい。花を愛してます」
赤く腫れた目に優しい光が灯る。
「避妊はちゃんとしてね」
まさかの言葉にきっとおれは埴輪のようになっているに違いない。
「独りよがりなことは絶対にしない。花が大切だから」
「じゃあ、過去ってことでいいんだよね?」
「もちろん。過ぎた過去はもうどうしようもないけど、未来は花と作りたい」
「うん」
二人で手を繋いで、兄夫婦がまつリビングに行き義姉さんに色々と謝罪をした。