タングルド
「私の部屋はもう好きにしていいんだからね!」

部屋が私が使っていたそのままで残されているため、皆んなの前で公言した。これで模様替えもしやすくなるといいけど。

結局、私も賢一もお酒は飲んでいないが花達に付き合って泊まることにして、私の部屋は私と賢一、花の部屋は花と新二くんが泊まる。

「雪の部屋かぁ、一人暮らしをしていたあの部屋とあまり変わらないんだな」

「住んでる人間は同じだから。でもここも、お父さん達が変えてくれればいいなぁと思う」

「そうだね、素敵な二人だね」

「賢一の両親には敵わないけどね」

「あーそうだね」
賢一は少し遠い目をする。
「まぁ、俺は親父よりももっと甘くする予定だけど、そうだな『副社長は溺愛あまあまモンスター』ってのはどう?」

「もう、また!!」
ふざけてはいるけれど、あの女(ひと)がきた時に、すぐに気がついてくれた賢一には感謝しかない。
「さっきは、お父さんを連れてきてくれてありがとう」

「話は出来た?」

「うん、てかお父さんが凄くキリッとしていて初めてかっこいいって思った」

「う〜ん、なんか妬けるな」

「何を言ってんの!父親だよ」

「でも、お義父さんって何気にイケメンだよね」

「そうかも、でも私にとっては賢一が一番イケメンだと思う」

「さすが有能秘書だね、でももっと欲しい言葉があるんだけど」

「世界で1番愛してる?」

「そこ、なんで疑問形」

「ふふふ」

賢一はそっと私のお腹に手を添える
「どんどん家族が増えていくのは幸せも増えていくことなんだな」

「責任も増えていくけどね」

「う〜ん、雪は現実的だね。でも、そこがまた魅力的で愛さずにはいられないけどね」
「寝ようか」

電気を消して、賢一の腕の中にすっぽりと入ると、隣の花の部屋から艶かしい声が聞こえてきた。

「ちょっと、壁を叩いてもいい?」

「う〜ん、できれば聞こえない振りをしてあげるという選択はアリ?」

「わかった、明日の朝、新二くんをシメてもいい?」

「それは仕方がないかな」

はははははは
あははははは

ドンっ!!!

笑いすぎて腕が壁に当たってしまった。

決してわざとではないけど、隣はすっかり静かになった。


翌朝、花と新二くんが妙にソワソワしていたけど、気がつかなかった振りをしておいた。

帰りの車中は二人で爆笑しながら帰った。
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