タングルド

「ヤバい欲望が迸りそう」

約20センチの身長差のある賢一のシャツは、漫画やドラマで見るような完璧な“彼シャツ”状態だった。

肩を抱かれてリビングの隣の部屋に入るとセミダブルのベッドに壁には大きめのテレビ、壁には天井まで届く本棚が置かれていて、リビングとは違い生活感のあるスペースだった。

「テレビでも見て待ってて」

そういうとサイドテーブルに置いてあるリモコンを渡された。


リビングにテレビがなかったのはベッドルームにあったんだ、とうかリビングは仕事用でベッドルームがプライベートなのね。

ここに他の女性がきたことはあるんだろうか?

自分の部屋に茂がきていたことがあったのに、この部屋に入った女性が私だけだと思いたいとか都合が良すぎだよね・・・

「テレビでもみよう」

リモコンを操作しようとした時に、スマホの着信音が響いた。

音のした方を見ると、先ほどまでリモコンが置いてあったサイドテーブルに賢一のスマホが置いてあり、そこから鳴り響いていた。

ちょっとすると呼び出し音がおさまったので、改めてテレビの電源を入れようとすると、呼び出し音が鳴り始める。

賢一を呼びに行った方がいいだろうか?
それとも、相手は急ぎなのかもしれないから持っていった方がいいかもしれないとスマホを手に取ろうとした時、画面に表示されていたのは

“森川彩香”

という文字だった。
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