タングルド
「新妻っぽいね」

身支度をしてから昨日の約束通りにプレゼントしたネクタイを締めていると、そんな事を言いながら相好を崩す姿にドキドキとする。
賢一といると寿命が縮まるかも知れない。

「雪は朝食を食べる方?」

恋愛小説とかだと、早く起きて朝食を作っておくと彼が喜ぶとか、実は彼が料理ができる男でギャップ萌えとかになるんだろうけど、この家の冷蔵庫には見事にビールと水しか無かった。

「うん、朝食を食べないと脳が働かないタイプだと思う」

「実は俺も」

朝食をしっかり食べる人のキッチンじゃないけど!?
というツッコミは胸にしまった。

「ということで、モーニングを食べてから出社しよう」

「モーニング?」

「俺の隠れ家的な所」
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