タングルド
大学に入学するとサークルやコンパ、アルバイト先が居場所となった。
18年間いたあの場所よりもずっと居心地が良かった。
適当に合わせて、好きだと言われれば付き合って、別れて欲しいと言われれば別れた。
付き合うと言うのは単に肉欲を満たすだけの事でいつでも簡単に壊れる。
オレもそれでいいと思った。

”愛”なんてフィクションだから。

4年間、親が支払っていたアパートは両親が離婚をしたことで解約し家族の形を作るための箱だった家は売却されその金は慰謝料として母に渡りその半分を生前贈与として受け取った。

家族が完全に消滅した瞬間だった。

元々壊れていた家庭がどうなろうとかまわなかった。
その金で中古のワンルームマンションを購入してそこがオレの唯一の居場所となった。

親が支払っていた4年間住んだあのアパートは常に誰かが居てホテルがわりにもなっていたが、マンションには誰も呼ぶことはなかった。


たった一人を除いて。
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