タングルド
「でもね、なにより悔しかったのはリアルオフィスラブに憧れていたのに、相手が私じゃなくて浮気相手だったってこと!私も熱いリアルオフィスラブがしたい!」

「ぶはっつ」
さすがにコレは意外すぎて噴き出してしまった。

振り向いた豊田さんはよほど驚いたのか口がパカーンと開いていた。
こんな表情もするんだ、めちゃくちゃ可愛い。
「北山さんと別れたんですね豊田さん」

和也の片眉が上がる
「賢一君、わかっていて黙って話を聞いてたんだ」
と言うと豊田さんも非難の声を上げる。
こんな可愛い豊田さんを見られるんだからいくらでも非難して欲しい。俺は実はMっ気があるのかも知れない。
しかも、豊田さんはお酒のおかわりの催促までしている。

「豊田さんがぜんぜん俺に気がつかないし、それ以前に和也と話していることで活き活きとしている感じだったから」
そう、会社では見られない表情、北山が独占していたものが見られるのが単純に嬉しかった。
ただ、今日はいくらなんでもペースが速そうで結構酔っている。

北山と別れたと言うのならこのチャンスを逃すことはない。
「豊田さんはリアルオフィスラブに興味があるですね、なら俺としましょう」

普段の豊田さんなら瞬殺されていただろうけど、今夜は正しい判断が出来そうにない
別れたばかりでいきなり俺を好きになってと言っても難しいだろうし、豊田さんも北山と別れてすぐに違う人と付き合うことに躊躇いがあると思うから、2ヶ月間のおためしと期限を付けた。

もちろん、そんな気は無いけど

汚いといわれたとしても、つけ込ませてもらう。
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