非常勤講師と受験生



【  合格  】


と大きく赤い太字で書いてあった。

すると、私よりも先生よりも、まゆちゃんの方が大声で「ほんとに?!まじで?!」と喜んでくれた。

そして、先生も『良かったな』と言ってくれた。

私は何故かは分からないが、目から涙の粒がポロポロと流れ落ちてきた。

「あれっ、何でなんだろ。涙が……止まんないんだけど………」

「そんだけ嬉しいって事なんでしょ」

そう言ってまゆちゃんは私の事を優しくハグしてくれた。

「まゆちゃん、ありがと………先生も、ありがとね………」

『いいよ、今日位は渡辺に譲ってあげるよ』

「それでも、葵は小林センセーのモンなんでしょ?」

「そうだけど?」

「うっわぁー、また喧嘩吹っ掛けてきてるわ」

「ふふっ、先生とまゆちゃん可愛いね」

『「そんな事ないわ!!!」』

「ほら、被った」

そう言って、私達は笑い合ったのだった。
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