非常勤講師と受験生
先生の車は、白いセダンでナンバープレートも直ぐ覚えたので、どこに在るのか一瞬で分かった。

私が行った時にはもう先生が運転席に乗っていたので、荷物をセカンドシートに乗せ、私は助手席に乗った。

私はシートベルトを締め、先生に「海に行きたい。」と言った。

この時期の海は寒くなってきていたが、中間テストの時の約束を果たしたくって、そう頼んでみた。

「おう、分かった。それじゃ出発するか!」

そう言って、家とは反対方向の篠崎海岸へと向かった。

先生が車を運転している姿がとても大人に見えてしまったので、突然「先生、カッコいいね…。」と呟いてしまった。

車内はFMラジオがかかっており、ラジオからはジャズらしき音楽が流れていた。

先生は、私が呟いた事に照れてしまったのか、「ほんとかぁ?ま、ありがとなー」と軽く受け流されてしまった。

でも、先生の耳が真っ赤になっていた…。
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