非常勤講師と受験生
「俺と二人きりの時は、『大河』って呼んでほしいな。」

「ふぇっ?!」

「ほら、呼んで?」

そう言った先生は子犬にしか見えなかった。

「っ、たっ…。」

「ん?」

「たっ、いっ…。」

私はとても恥ずかしかった。だけど小林先生の為。そう思ってようやく…。

「たいっ、が先生っ。」

「ねぇー、呼び捨てが良かったんだけどなぁ~。」

「無っ、無理ですッ!!!これ以上呼べません!!!」

「それじゃ、これから慣れていこーね!」

頭をわしゃわしゃしてくれた先生が愛おしかった。

「あ、それとさ?二人っきりの時はタメで…。」

「もう無理ですッ!」そう言って照れ隠しをしてしまった。

(先生のバカッ…。)
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