「大好き」なんて嘘だった
あぁ、失恋ってコレのことを言うのか。

何に関しても「絶対」は存在しないなんて分かりきっているのに、私はそれに甘えてしまっていたらしかった。

17歳。高校2年生の7月。失恋。

小学校から仲良しで、受験を機に学校が離れた悠希。お人好しでおっとりしていて、いざという時は私を慰めてくれた。受験で荒んでいたとはいえ、私はそんな悠希にあっさりと恋に落ちたのだった。

2年、会えていないけど。

そりゃ、長い間会えてなくてメールするくらいの「友達」と、毎日顔を合わせる女子なら絶対後者の方に恋に落ちる。私でもわかる。

2年も会えていないのは__悠希に会いたくなかったからだ。友達という距離感を自ら壊して関係性を崩したくなかったから。……うん。やっぱりありきたりだ。私の恋なんて所詮そんなモノだったという事だろう。



でも、それでも。

私の恋が、たった一通のメールで終わらされるなんて嫌だった。

最後にどうにか足掻きたかった。



『詳しく話聞きたいから、夏休みのどっかで勉強会…という名の雑談会しない?2年くらい会えてないし!』



[送信]のアイコンをタップして、既読の字が現れるのを待つ。




別に私と悠希が会ったとして、私の恋が実るわけではないし私の失恋が無かったことになる訳でもない。

でも、会わなきゃならないと思った。
会えないまま終わる恋なんて__そんな、軽々しい恋がしたかったのでは決してないから。

たとえ失恋でも、私は恋を綺麗に終わらせたかったから。


[悠希:いいよ〜!いつにする?]


私はスマホを握りしめた。


部屋の鏡には、私の固い意思と反して情けない泣き腫らした目をした私が映っていたけれど、気付かないふりをした。
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