二人で見た青い空
バイト先の休憩中、何もせず窓のそばでボーッとしてたらアキノに話しかけられた。

「何してるの?」

と言われ、とっさに目を逸らした。何か理由も無いし、他に言うのが面倒で、

「…なんか空見てた…好きだし…」

ってごまかして言ったらアキノが笑った…。
初めて可愛いと思ったら直視できなくなった。俺はあまり笑わない。面倒だから。でも、アキノの笑顔見たら何だか嬉しくて、

「鳥はいいよな…」

とか言って、少し笑ってごまかした。
コイツがなんか、好きになった。


あのときも、話しかけられたら面倒とか思ってた。でも、アキノの笑顔が見れた。
あんなときのことを思い出してコイツ…わざわざ俺の笑った顔見るために…。

なのに俺は何してたんだろう…。

アキノの笑顔見れないなら、俺といない方がいいだろうなんて…アキノはずっと俺が笑えるように、俺のしたいようにしてほしいと思って「なんでもいい」って言ってたのに……。


いつも別れる場所についた。

「シンくん…今までごめんね…。私と…別れたら…シンくんまた…笑ってくれる…?」

ダメだ…俺、このままじゃ、せっかく付き合ってくれたアキノの笑った顔……

「っ…笑わねえよ!!」

何て言えば良いかわからなかった。いなくなる人間を引き留めたことなんて、面倒とか言ってて、今までなかったから。

「お前いなくなったらもう、笑わねえ!!」

「え…?」

「お前笑ってくれるなら俺、笑ってやるよ!」

言葉が変になるのも気にせずに俺は言った。

「俺は面倒は嫌いだ!でもお前が好きなことして笑ってたら笑ってやる!いなくなるならもう笑わねえよ!」

「シンくん…ほんとに…?」

「俺といてもつまんないだろうと思ってた、お前も笑わねえし…お前が笑ってた方がいいし…。でも、お前が笑ってくれんなら……」

「…シンくんが、抱きしめてくれたら…私のこと好きだって言ってくれたら…私笑うよ…」

俺はアキノを抱きしめた。

「こうかよ!…好き…アキノ!!」

俺はなんか、アキノが暖かくて、嬉しくて笑った。
アキノは俺の腕のなかですごく嬉しそうに、泣きながら笑った。
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