先輩と泣き虫
「んっっ!!」

苦しい…!
私の口を先輩の熱い唇で塞がれて…

「んっ、んん…!!」

「はあっ、はあっ…」

やっと離れた先輩の熱い吐息で、私は何も言えなくなってしまう。

私、大好きだった先輩に完全に嫌われちゃったんだ…
もっと早く言っていたら、違っていたの…?

「…その身体に…言うこと聞かせてやる…!」

「やっ…!」

もう逃げられない…

これは好きな先輩から逃げ続けた私への、先輩からの罰…

「っ…くっっ…!!」

先輩は押さえつけた私に伸し掛かった。

「あ、痛っ!!痛い…!!」

私…先輩と…

「初めて、だったんだろ、お前…!全部…奪ってやる…」

強く抱き締められたまま、少しずつ繋がる身体。
先輩の顔は私からは見えない。

「や、やだっ…!」

…私、まだ言ってないから…

「はあっ…!くっ…お前が…俺のこと、嫌いなことくらい…知ってる…!」

「ちがう…の…きいて…ください…!んっ…!!」

先輩が好きなこと、私はまだ言っていないから…

「ファースト…キス…奪って…初めても…奪ってやった…でも…俺は…これ以上……」

先輩が泣いてる…
私を抱き締めたまま、繋がったまま、声も身体も小さく震えて。

私、先輩のことを傷つけたんだ…。先輩に嫌われたくなくて…想いを伝えないまま逃げたりなんかしたから誤解させて…

「っ!見るなよ…!見るな…お前なんか…嫌いだ…!!」

「っ…!!ぐすっ…ぐすっ…!」

身体が繋がっているのに、心が離れて…
熱くて、なのに寂しくて…。

大好きな先輩との初めてなのに…

謝ろう…
そして想いを伝えるの…どんなに嫌われたって、きっとこれ以上悲しいことは無いから…

「くっ…はあっ、はあっ!!」

「あっ…やあぁぁ…!!」

身体がものすごく熱くなって浮き上がる気がした…。
目の前が真っ白になって…先輩の身体の重みが更に感じられて…
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