Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!



『・・・・・・』

「でも、あいつの言いたいこと、わかるよ。医療人として大切なことだからね。」

『・・・・・?』

「それでも、あの言い方はちょっと冷たいよな~。マオちゃん。」


岡崎先生ではない声でのマオちゃん呼びに驚いて振り返ると、実習3日目で初めて見る、リハビリスタッフとは異なるスクラブの上に白衣を纏った格好をした人に耳元で呟かれた。

仰け反りながら目に入ってきたのは
森村優という氏名の名札。

しかも、整形外科医師って書いてある。


「まお、こっちへ来い!」

『へっ?』


今度こそ、岡崎先生の、まお呼び捨て。
その声がするほうへ振り返る。


「変態がうつる。その人はヤバい。」

『へっ、変態?!』


いつもの腕組みだけでなく、明らかに眉間に皺がくっきりと寄っている岡崎先生がそこにいる。
般若度3割増状態。


「今、レイナさん不足だからな、お前、危険だぞ。」


レイナさん不足って意味わからないけれど
このお医者さん、危険なの?!


「マオちゃん、まだ始まったばかりだ。あいつについて行けばいいから。」

変態&危険扱いされたお医者さんにまた耳元で囁かれた。
今度は頭ポンポン付きで。


「まお。早くこっち来てお前もROM(関節可動域)測定しろ!!!!!」


なんでかわからないけれど
邪魔者扱いされていたはずのあたしが
初めての課題を出された。
怒られながらだけど。


「マオちゃん、あいつは待ってるよ。マオちゃんがぶつかってくるのをね。」


白衣のポケットから焼きそばパンを差し出してくれたお医者さんに背中を押されて
ようやくあたしは自分から岡崎先生のほうへ向かった。


『岡崎先生、なんで、レポート、バツなんですか?』

「今はそれじゃねーだろ。ROM検査!」


実習3日目

焼きそばパンをくれた変態で危険なお医者さんに
背中を押され一歩前に出れた

怖さ3割増の般若との距離感がなぜか少しだけ近くなった日


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