Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
「なんで名古屋の、作業療法士の先生が、こんなところに~イ?知り合いなの~ォ?」
相変わらず喧嘩腰なお父さんの言う通り、岡崎先生はなんで今日ここにいたんだろう?
もしかして卒業式の来賓だった?オフィシャルなスーツ姿だし・・・
でも、もし式場内にいたら絶対に気がつくはず
「昨年の真緒さんの評価実習の担当指導者でした。」
「じゃあ、卒業式の関係で大学に呼ばれたんだよな?そんなこの場にふさわしい格好しているぐらいだし・・・で、真緒と再会して、久しぶりついでに、ついハグしちゃったんだよな? 岡崎くんはアメリカ育ちだからな。」
「今日は大学に呼ばれたのではなく、この日をずっと待ち続けて自分の意志で真緒さんに、そして真緒さんのご両親に会いに来ました。そして、僕はアメリカ育ちではなく長野県松本市出身。久しぶりついでのハグではなく、待ちに待ってようやくすることができた大切なハグなんです。」
あたしが知っている、以前の岡崎先生なら
照れくさいから、もっと適当に、気だるそうに答えていただろう。
それなのに今、目の前にいて、お父さんに勝手にアメリカ育ちにされてしまった岡崎先生はお父さんが求めた具体的な答えを一切ブレたりすることなくひとつひとつ丁寧に答えた。
その丁寧な答えを聞き入ったお父さんの、さっきまでしゃくれ上がっていた顎が少し下がっている。
多分、岡崎先生のその丁寧な答えがお父さんのけんか腰な態度を少し和らげたに違いない。
少しだけだけど・・・
「実習中・・・真緒に何かしただろ? そういえば、真緒が寝言で泣きながらスキって言ってたしな。お前の名を呼びながら。」
そんなことを寝言で言ってたことを聞かされて自分でもびっくり
それは、隣にいる岡崎先生も同じようだったみたいで、彼は驚いた顔でちらっとあたしのほうを見た
そして再び彼はお父さんのほうへ顔を向けて
「・・・1回だけ朝帰りさせました。すみません。」
と言い、深々と頭を下げた。