Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
『それで、2年前から待っていた・・・って言ってくださっているんですね?』
「へ~伊織がそんなこと言っていたんですね。まあ、あの時の伊織は、神林さんの指を気にしながらも、神林さんの存在も気になっていたみたいですし。」
『・・・存在・・ですか?』
「そう。神林さんを探している間、本当に必死で。伊織は基本、病院外では他人には全く興味のない男ですから・・・珍しいなと思ってみていたのですが・・・神林さん達の実習初日の顔合わせで、明らかに伊織は態度がおかしかった。本人はそれを必死に隠そうと取り繕っていたのですが、ダダもれでしたね。」
松浦先生はそう言ってずっと堪えていたらしい笑いを、上品にふふっと漏らした。
「あ~、適当に涼しい顔して真緒の担当指導者に立候補したヤツですよね!あれ、適当じゃなかったんですか?!」
「そう。全然。神林さんのプロフィールの書類を見て、“やっと見つけた”みたいな顔していたからね。」
その頃のあたし・・つまり実習初日のあたしは
岡崎先生の印象・・怖くて強引でサイアクだった
それなのに、岡崎先生の心の中にはそんなことがあったんだ・・・
あ~もう・・
もっと好きになる
岡崎先生のことを・・・
『だから、2年も待っているから、鉄の理性・・・もう維持できないって言ってたんだ・・・あっ・・・』
「真緒、聞こえてるって・・・心の声。そんなこと言われたの?岡崎先生に!」
『心の声って・・・嘘!!!! さっきも岡崎先生に同じこと言われたのに・・・あた』
「維持できないよ、理性なんて・・ずっと捜し続けていた女の子に大好きとか言われたらな。」
「きゃあ~!! 岡崎先生!!! 真緒!真緒!理性、維持できないって・・ねえ、真緒、聞いた?」
迎えに来てくれることはわかっていたけど、思っていたよりも早く姿を現した岡崎先生に、絵里奈は大興奮。
そこからの絵里奈は彼女の独壇場で、“おめでたいですし、岡崎先生も一緒に飲みましょ!”と謝恩会会場内のケータリングにあるアルコールドリンクコーナーへあたし達を無理矢理引っ張って行き、楽しそうにお酒を飲み始めた。
その後、楽しさ勢いで沢山お酒を飲んでしまった酔っ払い絵里奈におめでとうを散々浴びせられ、岡崎先生までも絵里奈の酔っ払い無礼講の餌食となった。
「まおを泣かせたら、えりなが~ゆるしませんよぉ~、はんにゃおかざき~!!!!」
「・・・わかった。わかったから。」
「じゃあ、はんにゃおかざきに教えてあげる。あたしだけがしる~まおのひみつ・・・」
「・・・それは真剣に聞いてやるから、言えよ。えりなちゃん。」
さっきまで、岡崎先生は酔っ払い絵里奈の絡みを適当にかわしていたのに、まおのひみつという言葉で目つきが鋭くなった。
絵里奈がこそこそと岡崎先生に耳打ちした瞬間、
岡崎先生は目をぎゅっと閉じて苦悶の表情を浮かべた。
あまりにも苦しそうな顔をしたから、その後、岡崎先生が滞在予定のホテルへ向かってふたりで歩いている途中。
『絵里奈と内緒話の時、すごく苦しそうな顔していましたけど、何かありました?』
あたしは聞いてみた。
何があったかを・・・