Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
右手薬指のスワンネックスプリントと同様に
あたしが気がつかない間に彼によって作られていたその指輪
彼によってそれが外されてしまい、何もなくなってしまったあたしの左手薬指
昨日からそれを嵌め始めたばかりなのにまるでその指輪があたしの身体の一部だったかのようだ
そんな指輪は今、彼によって彼の右手の示指(人差し指)と中指に摘ままれ、高く昇り始めている太陽の光に曝されている
あたしからの“なぜ指輪を外すのか”という問いかけに彼は答えてくれないまま、ただ時間だけが経っていく
「真緒・・・名古屋と高山、正直遠いぞ。」
『・・・・・・・』
「・・・やっぱり俺のこと、やめておくか?」
ようやく口を開いた彼が言ったのは
いつもは強気な彼らしくない、弱気な言葉。
そんなこと言わないで・・・
でも、彼にそう言わせているのはあたし
あと20分しかないことで負けそうになってしまったから
「俺は真緒やご両親にも、昨日の夜、あったことを晒してしまうようなデリカシーのない男だ。さすがに不器用にも程があるだろう・・・」
そんなことを思わないで・・・
岡崎先生が語った事実で、
あたしは両親に対する後ろめたさから解放されて、
両親はあなたへの信頼を深めた
だから決して後悔しないで
あたしを導いたあなたは間違ってないし
あなたに導かれたあたしも間違ってない
あたしはあなたの手のひらの上で転がされているのが
一番の幸せなんだから・・・
『不器用なんて今更ですよ!!!! 出逢った頃の岡崎先生の塩対応に散々振り回されたんですけど、1年前は好きって告白すらさせてもらえなくて、勝手にフラれて、それでも好きをやめられなかったんですから!!!! だからこんなにあたしを岡崎先生好きにさせた責任取って下さい!!!!!』
あたしはやっぱりお父さん似だと思う
好きにさせた責任取ってなんて強要しているし
でも、しょうがないじゃない
岡崎先生が好きな気持ちはもうどうやっても止められないんだもん!!!!
岡崎先生本人に告白させてもらえなかった1年前からずっと
諦められなかったんだもん
こんなにあたしにしちゃったんだもん
責任ぐらい取れよ~!!!! 般若岡崎~!!!!
「おい、真緒。」
『へっ?』
「勝手にフラれて・・とか、聞き捨てならないな。俺は1年前、お前をフってなんかないぞ。」