Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!


特急電車がホームへ到着した音が一応聞こえていたのに、岡崎先生はそれをわざわざ知らせてくれる。

急かす彼はなんだか楽しそうで悔しくなる
あたしは岡崎先生を堪能なんてまだしてない!!!!


『・・文字・・・も・・・じ・・あった!!!!』


やっとのこと、米粒の半分ぐらいのサイズのアルファベッドの文章を見つけた。
あたしはこれを手彫りする彼の器用さに改めて驚きながらも目を凝らしてそこに何が書かれているかを懸命に読み込む。


『えっと・・・エム・・エー・・・オー・・・・』

「おっ、見つけたな・・でも俺そろそろ電車乗る。」

『そんな~、あたし、岡崎先生を堪能してない!!! 待って!堪能~!!!!』


彼の電車乗車宣言に慌てたあたしはまだ解読途中の指輪のアルファベット文章から、岡崎先生のほうへ視線を移してしまった。


カブっ!!!!


『痛い!!!鼻が・・・鼻噛んだ!!!! これ甘噛みレベルじゃないですよ~!!!』


彼の突然の鼻ガブっに、つい彼を見上げてしまった。


ちゅっ!


「堪能できたか?・・・俺のこと。」


彼は鼻ガブッの後に、キスをあたしの唇を落とす。
その後も顎を指で支えたまま、満足気な表情を浮かべる。


『・・・・もう~、どんだけあたしのことを甘じょっぱくメロメロにすれば気が済むんですか?!・・・っていうか、指輪の意味・・・教えて下さい。もう時間がないし。』

「俺が答をすんなりと教えないことを真緒は身を持って知ってるだろ?それに真緒に面と向かって答言うとか、無理だな。」

『無理ってそんな・・・』

「じゃあ、無理の代わりに・・・ヒントぐらいはな。」


チュッ~!


「これが答のヒントだよ。真緒、時間だ、じゃあな。」

『そんな~!キスふたつとか・・・甘い余韻を残してさっさと去るなんてズルイ!!! というか、次、いつ会えるんですか?!』

「その、真緒の鼻の甘噛み痕がきれいに治ったら・・ぐらいかな。今度こそじゃあな!」

『そんな~。痕が治ったらって・・・具体的じゃ無さすぎる・・・あ~!!!!』



ゆっくりと閉まっていく、あたしと彼の間を遮る電車のドア
そのほんの少しの隙間から聞こえてきたのは
次、いつ会えるという具体的な返答なんかじゃなくて

「まお~、今度こそ、お尻のかわいいホクロ見せろよ!!!」 

ハンドセラピィをしている時には本当にかっこいいのに
今は変態丸出しな彼の声だった。


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