Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!



作業療法士1年生であるあたしは自宅から通える回復期のリハビリテーション専門病院のリハビリテーション部へ配属された

私が作業療法士として従事している回復期リハビリテーション病棟とは、
【脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの病気で急性期を脱しても、まだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者さんに対して、多くの専門職種がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟】(回復期リハビリテーション病棟協会HPより一部引用)

学生時代の実習
あたしはそれを、
・・・岡崎先生が在籍する病院であり、病気やケガを発症したばかりの患者さんを診る急性期病院
・・・精神疾患患者さんへ作業療法を実施している精神科病院
・・・病院退院後に自宅生活を目指したリハビリを宿泊滞在して行える老人保健施設
で行わせて頂いた

作業療法士の職域は多岐に渡っていて、それら以外にも、発達障害者(児)の日常生活活動能力の向上や社会参加ができるように支援する施設や訪問リハビリなどで活躍する作業療法士もいる

とにかく守備範囲が広いのが作業療法士

岡崎先生のように、作業療法士資格を保有しながらも、手の外科リハビリのみを行うハンドセラピストとして活躍する人もいる
でも、彼のように専門性を持って従事できる人は能力の高い人のみ

自分みたいに何も専門性を持っていない作業療法士はまずは幅広くいろんなことを経験する必要があると思っている
だから実習を経験したことのない回復期リハビリを行えるこの病院へ就職した


でも、実習とは違って担当患者さんのリハビリ訓練のことは自分が全部責任を持たなくてはならない
それだけではなく、患者さんはもちろん、そのご家族や医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーなど様々な他職種の方々とのやりとりにおいても、専門的な視点での意見を求められる

そんな日々を過ごすこの頃では、未熟である自分ができていないことを痛感し始めて、勉強するもうまくいかないということが続いていた。


そんな中。

「神林さん、お電話です。」

ある日の昼休み、リハビリテーション部の受付の女性スタッフの人から声をかけられた。



『どなたですか?病棟看護師からですか?』

「それが・・・・」


申し訳なさそうな表情の女性受付スタッフ。


『電話、切れちゃいました?』

「いえ、繋がっているんですが、相手のお名前が早口でうまく聞き取れなくて・・・本当にごめんなさい。」

『大丈夫ですよ。お電話、代わります。』


あまりにも申し訳なさそうなので、電話相手がわからないまま、彼女の手から電話の子機を受け取った。

早口らしい電話相手のお名前、ちゃんと聞かなきゃと背筋を伸ばしてから電話の保留ボタンを押した。


『もしもし・・・作業療法士の神林です。』

「あ~神林さんですか~?」


男の人?
しかも変な鼻声でかなり胡散臭い



『はい、そうですけれど・・・』

「あ~オレオレ。」

鼻声でオレオレ詐欺?
オレオレ詐欺って病院にかけてくるものなの?



『私、お金ないので失礼します!!!』

「あっ!!!」

鼻声だった男の声がクリアに聞こえた。


『まだ何か?』

「私、名古屋南桜総合病院の・・・」



・・・名古屋南桜・・・・



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