Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
「16時58分。間に合いやがったな、真緒。」
『当たり前だよ~。ちゃんと逆算したもん。門限を守れるように。はい、これ。』
名古屋駅構内の売店で買った名古屋みやげを玄関まで迎えに来たお父さんに渡す。
お父さんには、お酒のおつまみにと手羽先のから揚げを買ってきた。
「やっぱり、お酒はこういうのが合うよな。で、あいつは元気だったのか?」
『すごく元気。昨日は急患が来て、手術室内で仕事してた。』
「あいつ・・・岡崎クンは医者なのか?手術室で仕事って・・・」
「伊織クンは真緒と同じ作業療法士でしょ?実習で指導してもらってたんだから、ね、真緒。」
お母さんも夕飯の仕度中に玄関まで迎えに来てくれて。
玄関先で家族で岡崎先生の話をするなんて
彼はどこまで存在感がある人なんだろう・・・・
そんなことを思ったら、彼からお母さんに渡せって言われているお弁当箱の存在を想い出した。
『そうそう。お母さんにもお土産があって・・・岡崎先生からもお弁当箱、預かってきた。はい、これ。』
「ふふふ。足りたかしら?伊織クン。あの体格だからね・・・」
「なんの話だ?」
お母さんに差し出したお弁当箱を、会話に割って入ってきたお父さんが受けとろうとしている。
岡崎先生に渡したこのお弁当箱にとんでもないものを入れた張本人であるお母さんは、さすがにお父さんに詮索されたくなかったのか、
「真緒、ちょっと用事ある。ちょっと来て!」
あたしの手を引いて、あたしの部屋に駆け込んだ。
「真緒、伊織クンのお弁当のリアクションは?」
『はい、これ、岡崎先生から返ってきたお弁当箱。痺れたわって言ってた。あと、まだ足りないって。』
“ドン引きしないどころか、まだ足りないってリクエストしちゃうところが彼のいいところ~♪”と言いながら、あたしからお弁当箱を受け取るお母さん。
「なんか重くない?」
『確かに重いよね?』
「どうしよう・・・純夏ちゃんとヤる時用にって、潤滑ゼリーとか入っていたら。」
『ちょっと、お母さん!!!!』
「そうだったら開けなきゃね!今すぐにでも!」
確かに潤滑ゼリーがこのお弁当箱に入ってたら
岡崎先生はあたしに開けるなとか言いそう
でも、さすがに恋人が相手の母親に潤滑ゼリーを贈るとか
ちょっとそれはダメ
いくら、贈る相手がエッチなお話が大好きな純夏ちゃんでも
『ダメ・・そのお弁当、あたしが開ける!!!!!ちょっと~あっ!!!』
「かえる・・・?」
『かえる?』
「これ、蛙よね?・・かえるういろう?・・・しかも、下手な字で5月21日って書いてある。賞味期限じゃないよね?」
別れ際にエッチなことしか言わない岡崎先生だもん
お母さんのいう潤滑ゼリーとかエッチなもののお返しが入っているかもしれない
そう思ってお母さんのお弁当蓋開け行為を制止しようとしたが失敗。
一緒に中身を見て同時に首を傾げた瞬間、LINEの通知音が鳴った。