Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!


4月に名古屋で会って以降、なかなか会えない岡崎先生とはLINEでやりとりをしていた。

LINEの大半は他愛もない内容だったけれど、
時には、仕事でのトラブルがあったことを気付かれて、通話で打ち明けたことも。

そんな翌朝は決まって

【仕事に行くと思うな。患者さんとリハビリして動く=アスレチックジムに行くと思え。】

【まおは、今ぐらいのカラダのほうが抱きここちがいいけどな。】

というちょっとエッチな励ましのLINEが彼から送られてきて笑う
そんな日々が続いた。

そして、かえるういろうが教えてくれたように、本当に5月21日に岡崎先生はたくさんの名古屋みやげを抱えてやってきて。

彼はお酒がハンパなく強いお父さんの策略にハマり、うちのリビングで酔い潰されて、宿泊予約していたホテルまで辿り着くことができなかった。

それでも、翌朝は高山から気軽に行ける飛騨古川へ街並み散策に一緒に出掛けたりして楽しい時間を過ごして、彼はそのまま飛騨古川駅から特急に乗って名古屋へ戻って行った。
別れ際は寂しいけど、こういう楽しい時間がまたあると思うと、笑顔でバイバイできた。



その後のあたし達も平日は仕事に没頭して、休日会える時にはお互いに行き来する

『今度、いつ会えるかな・・・? そういえば岡崎先生は今週末、ハンドセラピイの学会が東京であるって言ってたな。しかも演題発表があるって。』

『あたしも今週末の土日は仕事入っている。来週から見学実習の学生さんを担当するんだった。そっちも準備しなきゃ!』

お互いにそれぞれの場所でひとりの作業療法士としてやらなきゃいけないことがある

だから、岡崎先生とあたしは毎週末必ず会えるわけではない
下手したら1か月どころか2か月、3か月会えない時もある
久しぶりに予定が合った休日でも作業療法士らしく過ごしてしまうあたし達がいる


作業療法士は手工芸作業を用いて作業療法を行う仕事

でも、
・・・岡崎先生のやっているハンドセラピイ領域では手指や腕の関節や筋肉、感覚などの身体機能に対するトレーニングやスプリント作成、
・・・あたしが従事している回復期作業療法領域では着替えや食事、排泄(トイレ)や入浴などの日常生活関連活動動作の練習や脳機能へのアプローチを行う高次脳機能訓練などを行うこと
が中心となりやすく、手工芸作業を積極的に取り組めていないのが現状

だから、お互いに手工芸作業の腕が鈍らないようにと、一緒に各地を巡った。



陶芸では瀬戸焼の産地である愛知県瀬戸市へ
タイルモザイクは瀬戸の隣にある岐阜県多治見市にある体験教室へ
木工がやりたくなった時にはちょっと車を走らせて静岡県の山奥にある森林公園内に設置されている木工作業所へ行き、木製パズルを作ってそれを病院の作業療法室へ寄付したりして・・・

次はどこ行く?何作る?何食べる?と相談し合うのも楽しくて・・・


「真緒、たまにはスキーでも行くか?」

『そうだね!御岳?河合村?高鷲?どこ行きます?』

「たまには思い切って白馬でも行くか!」

『そうしましょう~!!!スキー楽しみ!温泉も!早速、休暇申請します!』

「俺も・・・松浦さんを買収する。」


名古屋と高山という遠距離恋愛
大切なふたりの時間をこうやって楽しみながら有意義に過ごし、あっという間に2年という月日が流れた。

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