Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
「はい、日詠です・・・・・妊娠32週・・・・・・NICU(新生児集中治療室)にもすぐに対応してもらえるようにコールしておいて下さい。」
あたしの携帯電話の着信音ではない、日詠先生の携帯電話の着信音が鳴った。
どうやら、急患の電話らしい。
「神林さん、話の途中ですみません。緊急コールが来てしまいました・・・」
『いえ、こちらこそ心配かけちゃって申し訳ありませんでした。』
「気にしないで下さい・・・でも最後にひとつだけ・・・」
『・・・・?』
「岡崎先生は僕にとても似ている・・・そう思います・・・不器用なところは特に・・」
『・・・不器用・・・?』
「ええ・・・それでは、また。」
日詠先生は、彼と岡崎先生が似ている不器用なところがどういうことなのかまでは教えてくれないまま、また穏やかに笑って、緊急コールがあった病院に繋がる出口のほうへ向かった。
その直後、名古屋駅方面の電車がやってきて。
日詠先生が言う、不器用がどういうことなのかをじっくり考える前に電車のドアが開いた。
『もう帰ろう・・・家に・・・・』
電車に乗る乗客の波に逆らうような気力を持てなかったあたしは日詠先生から手渡されたままだった彼のハンカチを握りしめ電車に乗り込んだ。
“真緒!!!!真緒!!!”と大声で叫びながら、改札口で駅員さんに制止されている男の存在に気がつくことなく・・・