Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
『・・今回、回復期リハビリ病棟患者やそのご家族に対し、退院前訪問指導の実施前後で、退院への意欲やリハビリテーションに対する意欲の変化について質問紙法にて調査致しました・・・まずは退院前訪問指導の内容はスライドの通りです・・・』
あたしの演題発表が始まった。
あたしは脳血管障害の回復期リハビリセッションでの発表。
自分でも飽きるほど練習した発表原稿の読み上げ。
原稿用紙は時々目にするぐらいで、内容のほとんどはスライドを見て説明できている。
『以上です・・・ご清聴ありがとうございました。』
院内の予演会通りに、特に読み間違えたりすることなく発表原稿読みを終えたあたしは、これから迎える質疑応答の時間に向けて大きく深呼吸をして前を向く。
その時丁度、会場の聴衆席の一番奥にいた絵里奈と目があった。
笑顔で手を振る彼女に小さく笑ってみせたその時、質疑応答を始めるとのアナウンスが流れる。
その直後、聴衆席で手が挙がった。
「熊本阿蘇リハビリテーション病院、作業療法士の竹中です。意欲の変化の調査をされているということですが、訪問指導前の意欲の調査は訪問日の何日前に行いましたか?また、入院時のリハビリに対する意欲についての評価は行われていますか?」
想定していた質問あり
想定できていなかった質問あり
『訪問指導前の調査は訪問日前日に実施していました。入院時の意欲については・・・行えていませんでした。』
「それも評価できていると、退院前訪問指導のタイミングを検討しやすくなるかと思われます。でも、興味深い発表でした。」
『今後、是非参考にさせて頂きたいと思います。ご指導ありがとうございました。』
評価実習中と同じような、聴衆からの多くの質問や意見。
実習生の頃はただただ戸惑うだけだった
でも、作業療法士3年目の今は、自分が足りなかった部分を戸惑うことなく理解し、意見には心から感謝できるようになった
それも、評価実習での症例発表での、不甲斐ない自分を自覚したからこそ
そういう機会を与えてくれたのは岡崎先生
彼のことを忘れようとしているのに、こんな形で想い出すなんて・・・
「たくさんのご質問ありがとうございます。まだまだ質問はあるかと思われますが、時間となりましたので、この演題をもって当セッションは終了と致します。ご清聴ならびにセッションへのご参加ありがとうございました。」
私が参加している脳血管領域の回復期リハビリセッションで司会進行をしている座長の終了を促すアナウンス。
それによって私のこの研究会での演題発表は終わった。