Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
病棟に響き渡りそうな声でドアの向こう側にいる長谷川さんに話しかけた。
でも、勇気を出して声をかけたのに、返事が聞こえない。
丁度、通りかかった看護師さんに、何かありましたか?と聞かれたり、
少し離れた場所で、三角巾で腕を吊り、点滴スタンドを押して歩いている少女に、不思議そうな顔でじっと見つめられたり。
第三者の方々には明らかに不審者に見えるであろう今のあたし。
岡崎先生と話をしていた長谷川さんの様子だと今日こそあたしに向き合って下さるかなと思っていたけれど、やっぱり今日もダメか・・・
そう思って肩を落としていたあたしの目の前のドアがゆっくりとすうっと開いた。
「そこで叫ばれると、困るんだけど・・・」
憮然とした顔、困惑した声であたしの目の前に現れた長谷川さん。
機嫌を損ねてしまったと心の中で焦るあたし。
こんな状態で彼とやりとりするのは無理だ
多分、もっと困らせてしまうだろう・・・
『すみません。あの・・・出直します。』
「・・・こっち、入って。」
『はい・・・でも・・・』
長谷川さんはぶっきらぼうな声色で病室内に入るようにあたしを急かす。
昨日まであたしの存在を認めなかった彼があたしをその視界に入れてくれている
でも、さっき困るって口にしてた
今、自分がどう進んでいいのか正直わからない
そんなあたしに長谷川さんは
「レポート・・・書かなきゃいけないんでしょ?・・ほら。」
学生であるあたしを受け入れて下さったような促しをあたしにもたらしてくれた。
長谷川さんにとって学生は自分のことを実験台にするかもしれない存在であるにも関わらず・・だ。
『・・・はい!!!!失礼致します!』
「声、デカいって・・・」
『す、すみません!!!!』
「だから、頭に響くって・・・」
長谷川さんは面倒くさそうにボヤキながら、あたしに椅子に座るように勧めてくれた。