Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
【Study14:距離とリトマス試験紙がひたすら気になる人】



【Study14:実習13日目】



実習最終週の月曜日。

昨日、絵里奈に焼肉屋での出来事を冷やかされながらも、なんとか前島さんレポートを仕上げたあたし。

長谷川さんレポートはもう少し評価検査を進めないと完成できないから、今週は本当に頑張らないといけないのだ。


「前島さんだっけ?脳外科症例のレポート、俺も見せてもらった。なかなか良く書けてるじゃないか。」

『あ、あ、あ~、岡崎先生も見て頂けたんですね。ありがとうございます。』


午後のリハビリ業務開始直前。
これから実施する予定の長谷川さんの評価検査項目を教科書で確認していたあたしに岡崎先生が声をかけてきた。


先週の焼肉での出来事以降、彼とまともに話をするのは今が初めて。
昨日絵里奈にあんなにも冷やかされたから、彼も何か気にしてくれたりしてくれているのかな~と思ったけれど、どうやらそんな様子はない。

あたしだけかな?
焼肉食べた後のことを気にかけてたのは・・・

それでも、先週土曜日の退院前指導の内容も頑張って書き加えたレポートを、指導が手厳しい般若に褒めてもらえたのはやっぱり嬉しい


「あとは長谷川くんのレポートと、症例発表だな。とことんフィードバックするから覚悟しとけよ。」

『はい。とことん頑張ります!』


なんか今日の般若は、いつになく指導者らしいから
あたしの気も引き締まる

学生の本分は勉強
やっぱりそうですよね?
般若岡崎先生!


『よし!やるぞ!』


ぴしっと背筋を伸ばしたその時、作業療法室のドアが開いた。


「こんにちは。」

そこにいたのは、ふわふわで長いウエーブヘアの、かわいらしい若い女性。
彼女の手は指先から肘手前までの長いスプリントが装着されている。

スプリントとは、作業療法士が医師の指示処方により手作りで作製する装具のこと。
熱可塑性プラスティックを加工してその人の体の状態に合わせてつくるオーダーメイドのものだ。

それらの存在で一目で手の外科の患者さんであることがわかる。
確か、松浦先生の担当患者さんだったような・・・


『あっ、こんにちは。中へどうぞ!』

「ありがとうございます!」


笑顔がとてもチャーミングな彼女。
怪我している手を下に下げないように反対の手で頑張って支えている姿はこっちが助けてあげたくなるぐらい。
同性であるあたしでも素直にかわいいと思ってしまう。



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