Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!



「たった今、俺が、岡崎くんがやってるあの役をやりたいんだけど、天才には適わない。餅は餅屋ってとこだよな~」

「森村先生はレイナさんの前でも整形外科医師でないと困ります。パーフェクトなマイクロサージャリーができる腕を持つアナタの代わりはいないんですから。それに僕もアイツにはかなわないですよ。後輩ですけど天才ですから。」

「あんなデカい図体なのに、繊細なんだよな~アイツ。ミリ単位で腱滑走させて癒着させないから。」

「だから急な予定変更、しかもレイナさんのような屈筋腱損傷の後療法でも、安心して代行訓練をお願いできるんです。」


背後から聞こえてきたそれらの声。

振り返るとそこには、手術室用のスクラブ+白衣姿の整形外科森村先生と
いつものケーシではなく、森村先生と同じスクラブを着て、手術室用のキャップを被ったままの松浦先生がいた。



「実習生を“邪魔だって”って訓練中に近寄せなかったのも、こういう一面を隠しておきたかったのでは? 実際、凄い才能を持っているのに他人に注目されて騒がれるのが苦手なヤツですからね。」

「そういうところ、バカだな、あいつ。俺、できるんだぜ!って威張ってもいいぐらいの能力、あるのにな。」

「性格はあまり器用じゃないですから・・・本気の恋愛に関しては特に。」



あたしの真後ろでヒソヒソ話をしている松浦先生と森村先生。
話題がプライベートな話に変わってきていてますます、あたしはここにいてはいけない気がしてきた。
それでも止むことのない彼らのヒソヒソ話。


「本当に面倒くさいヤツだな~わざと塩対応するとか。」

「この前なんて、急に焼肉行くから一緒に来てくださいって無理矢理連れていかれて大変でしたよ。“俺が誘うとパワハラとかアカハラになるだろうからって遠慮してたのに抜け駆けしやがって!!” ってキレていたの、笑えました。酒を飲むのも我慢して見張ってましたし。」


般若、焼肉、よく行くんだ
この前、下柳先生との焼肉で偶然出くわした時、般若はひとりだったみたいだけれど、松浦先生とも行くことあるんだ
彼らは先輩後輩の関係だけど、凄く仲が良いんだな


「それって言い方によってはストーカーだよな。うわ~、日詠さんレベルで面倒くさいヤツだよな、岡崎くんは。」

「日詠先生と同様、それだけ真剣なんじゃないですか?日詠先生はオペ室(手術室)まで押しかけようとしていましたからね~。レイナさんのオペの時。」

「あれはさすがの俺もドン引きした。死んでも俺の聖域であるオペ室にいれるもんかって心に誓ったからな。それにしても岡崎くんの焼肉屋の話も、日詠さんのストーカーレベルに近いな。」


岡崎先生がストーカー?!
あんなに面倒くさいこと嫌いなのに?
松浦先生の言う通り、意中の女性を焼肉屋で見張ってしまうぐらい
岡崎先生は真剣な恋愛している・・のかな?


< 77 / 226 >

この作品をシェア

pagetop