Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
【Study16:きっと気のせいなのに甘く切なく聞こえちゃう症候群】
【Study16:実習15日目】
実習15日目。
残りあと3日になった朝。
「真緒、昨日、フィードバック早く終わったの?あたしよりも早く寮に帰ってくるの、焼肉屋デート以来じゃな~い?」
『・・・昨日は岡崎先生が夕方、カンファレンス参加だったみたいで、あたしのフィードバックは下柳先生と一緒に、脳外科レポートの症例発表用レジュメの修正をしただけで終わったから早かったの。』
「なんか、元気ないじゃん。」
『・・・寝不足・・ってとこかな。』
実習最終週に入り、絵里奈もあたしも、レポート修正と発表用レジュメ(発表用レポート内容をコンパクトにまとめたもの)の作成で超多忙を極めていた。
そのため、お互いに自分のペースで夕食を取り、お風呂に入って、ベッドで休むという日々を過ごしている。
「寝不足だよね・・・ここ最近、朝ごはんの時ぐらいだね~。お互いに顔を合わせて喋るのも。」
『ホント、そう。ルームシェアしてるのにね。』
絵里奈は松浦先生担当の手の外科症例レポートのほうは順調だけど、長野先生担当の呼吸器症例レポートは今も苦労しているらしい。
でも、長野先生の存在は心強いと言いながら頑張っている。
「それにしても、真緒、元気ない。岡崎先生、やっぱり厳しいの?」
『最近はそうじゃないけど・・・』
「じゃあ、なんなのよ?」
『・・・朝ごはん食べる暇がもったいないぐらい・・・ヤってる・・らしい。』
「なに、それ。」
『だから・・・あっ、それは、その~あの~』
絵里奈に朝ごはん食べる暇もったいないぐらいヤる発言の深堀りをされると
長野先生経由でリハビリ全体に広がる→リハビリ室内で森村先生にも伝わる
→整形外科病棟にも伝わる
という大事になる可能性が高いと瞬時に判断したあたしは
『ほら~、朝ごはん食べる暇がもったいないぐらい・・・レポート作成を頑張ってヤってたらしいよ。』
「ふ~ん。誰が?」
『おか・・お母さん!!! うちのお母さん!』
とりあえずさっきの朝ごはん食べる暇もったいないぐらいでヤる発言を
男女の営みではなく、レポートという言葉を挿し込んで誤魔化した。
でも、絵里奈に誰のことか聞かれて岡崎先生とあやうく言いそうになったけど。
「真緒のお母さん・・・?」
『そうなの・・・お母さんの大学時代も。』
「なんで、今、真緒母登場よ?やっぱり、真緒、寝不足?昼休み、コンビニ行って栄養ドリンクかエナジードリンク、買って飲みな!」
『・・・うん・・・そうする・・・』
岡崎先生の、ちょっと破廉恥な噂をバラしてしまいそうになった朝の修羅場をなんとか乗り切り、あたしは無事に病院で昼休みを迎えた。