Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!



「いい返事よ。お嬢さん・・・ってそのユニホームはあまり見ないわね・・・って学生さん?」

『ハイ!岐阜濃飛医療大学リハビリテーション学部作業療法学科3年の神林真緒と申します。』

「まあ、元気がいい自己紹介で気持ちいいわね。あたしがメロンパン、あなたに買ってあげる~。ってナオフミくん、どこ?メロンパンも?」


あたし達の隣にいたナオフミくんと呼ばれている白衣姿の男性は、いるはずのそこにはおらず、レジで会計をしていた。
そして会計を終えた彼は再びこっちへ寄ってきて、あたしに向かって小さなレジ袋を差し出す。


「良かったら食べて下さい。リハビリさんにはお世話になっているんで。」

「ナオフミくん、グッジョブ!あたしよりも先に買って奢ってあげるなんて。さすがあたしが育てた男。」

「福本さんに育ててもらった覚えはないです。」

「何言ってるのよ~、深い関係じゃない。もう何十年ものの。ナオフミくんがまだランドセル背負っている頃からの仲じゃな~い!」


Mr.名医大殿堂入りイケメン男性医師とベテラン看護師の深い関係
しかもランドセル背負ってる少年時代からの関係
福本お姉さんがナオフミ少年を愛でるとか、そういう関係だったの?


朝ごはん食べる暇がもったいないぐらい、ヤる岡崎先生といい、
レイナさんのオペ室ストーキングをする日詠先生という人といい
今のこの、Mr.名医大殿堂入りイケメン医師のナオフミさんといい

この病院、ちょっとキャラ濃すぎるよ・・・



「神林さんに誤解されますから、福本さん、お願いですからそれ以上口を開かないで下さい。」

「いいじゃない、日詠先生~。そろそろその高すぎる好感度を下げて、近寄ってくる女性の数を減らさないと、レイナちゃんに愛想尽かされるわよ。」


レイナちゃん・・・?
しかも
あれ?今、日詠先生って・・・


『もしかして、あの日詠センセ?』

「お嬢さんも知ってるの~?学生さんまで名が知れているなんて流石ね!」

『だって、レイナさんのオペ室ストーキングしたあの日詠先生?!・・・あっ、しまった!!!!すみません。こんなこと。』


ナオフミさんと同一人物らしい日詠先生にすぐさま謝った。
ストーキングをバラしたの・・・これは本当にまずい。
日詠先生の好感度がダダ下がりしてしまう・・


「いいよ。僕がオペ室へ行ったのは本当だから。気にしないで下さい。それより、リハビリの実習、大変だと思うから頑張ってくださいね。」

自分のプライベートな情報をあたしなんかに暴露されても、日詠先生は嫌な顔ひとつせずに穏やかな表情で奢りメロンパン入りの小さなレジ袋を再びあたしの前に差し出す。


「お嬢さん、これもあげるから頑張ってね。」

福本さんという看護師さんがそのレジ袋を一瞬引っ張り、ポケットの中から取り出した飴を数個袋の中に入れてくれた。


『あの・・ありがとうございました!』

「どういたしまして。それじゃ。」

「どういたしまして♪それじゃあね!」



あたしのお礼に対する返事がぴったりとシンクロした日詠先生と看護師福本さんに、長年の深い関係の奥深さを感じずにはいられなかった。


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