Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
『邪魔だと言われても、もっと早くからすぐ傍で見ていれば良かったって後悔しています。かっこ悪いぐらい駄々こねても。』
「そうか・・・駄々こねても・・か・・・悪かったな。」
『いえ、岡崎先生のせいじゃありません。でも、過ぎ去った日は戻らないので、最後の最後まで一瞬たりとも岡崎先生のハンドセラピィから目を離さない・・・そう思っています。』
「・・・目を離さない、か・・・指導者冥利に尽きるな。」
照れくさそうにそう呟いて笑った岡崎先生。
般若顔が崩れるこのレア笑顔が見れるのも
あと3日・・なんだ
「真緒。」
あたしが寂しさ満載の実習終了カウントダウンをしているのを岡崎先生に見透かされたような、優しくて切ない音色の“真緒”
ここ最近、彼独特でちょっととぼけた“まお”よりも
今みたいな“真緒”のほうが増えているような気がする
『はい。』
「スプリント・・・作ってみるか?」
スプリントは作業療法士が患者さんの状態に合わせて医師の指示の下で作成する装具のこと
熱可塑性プラスチック素材を利用して作るスプリントもある
岡崎先生が今回作成を誘ってくれたのはたぶんそれ
松浦先生の患者さんであるレイナさんも装着していたスプリント
岡崎先生の患者さんである長谷川さんも装着していたスプリント
彼女らが着けていたものは凄く難易度が高そうなものだったけれど、
確かもっと簡素なデザインのものもあるはず
それも岡崎先生が直接レクチャーしてくれそうな雰囲気あり
岡崎先生担当の患者さん達が装着されているスプリントは
彼の手作りであるにも関わらず、まるで既製品のような完成度
そんな彼から直接レクチャーを受けられることになったら
とても貴重な機会になることは間違いないだろう
『作ってみたいです!』
「わかった。でも今日は無理そうだな。また声、かけるから。」
『ありがとうございます!宜しくお願いします!』
「任せとけ!」
彼らしい親指を立ててこっそりドヤ顔
この人は本当にハンドセラピィが好きなんだ
それが嫌というほど伝わってくるその顔
そんな彼のスプリント作成直接指導、楽しみってウキウキしながら先を行く彼を追いかけた。