Re:habilitation study ~鬼指導教官にやられっぱなし?!
「真緒、真緒!!!!」
頭上からダイレクトに聞こえるあたしの名前を必死に呼ぶ声。
「松浦先生、救急カート、持ってきて下さい。」
「わかりました。PT(理学療法)室にある心電図モニターも持ってくるよう手配します。」
それとは対照的な、日詠先生と松浦先生の冷静な声も遠くで聞こえる。
「岡崎先生、リハビリ診察室にもベッドありますよね?そこへ神林さんを運んで下さい。」
「わかりました!」
息も充分にできなくなっていたあたしを岡崎先生は軽々と抱きかかえて歩き出した。
相変わらず止まらない胸の疼き。
どうすればいいのはわからないあたしの目には勝手に涙が溜まる。
あたし、なんでこんな風になっているんだろう?
自分で自分をどうすることもできない
こんなこと、今までなかったのに・・・
「神林さん、ごめんね。ちょっと今から検査する。僕は産科医師だけど、お産だけじゃなくて女性のカラダを診ることはちゃんとできるから安心して下さい。」
『・・・は、はい。』
「岡崎先生は申し訳ないんですが、ここから出て行ってもらえますか?」
「えっ、でも真緒が心配で・・」
「診察のためです。ご理解下さい。」
病院内のコンビニで出遭った時、そしてレイナさんのハンドセラピィの練習を一緒にしていた時の、謙虚で穏やかな日詠先生とは別人のような毅然とした彼の声。
さすがの岡崎先生も、日詠先生の、医師らしい毅然としたその応対には従うべきと思ったようで、わかりました・・と静かにリハビリ診察室を退出した。