パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 本当に、めったなことは言えないな。
 この人の前では。

「そんな……贅沢なこと言ったらバチが当たっちゃうし」

 ルイは相変わらず、わたしを当惑させるようなことをわざと言う。
 ちょっと意地悪そうな顔で。
 
 でも……
 実は、最近はそれほどイヤって訳じゃなかった。
 逆にからかわれないと、ちょっと物足りないような……

「学校は来週から?」
「はい。ようやく始まります。もう待ちきれなくて」

 カップをソーサーに置くと、ルイは改まった口調で言った。
「その前に片付けなきゃならない仕事がある。祖母への挨拶だ。今度の日曜日に行くよ」

 そうだ。
 まだ、この渡仏、最大のタスクが控えていた。
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