パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「遠いところをよく来てくれました。どうぞお掛けなさい」
 わたしたちはふたたびソファーに腰をかけた。

 それから彼女は紅茶と焼き菓子を運んできたメイドさんの耳元で何か命じた。

「日本での仕事は順調でしたか」
「おかげ様で軌道に乗りました。それで私もようやく帰国できることになりまして」

「おまえの父親はいささか強引すぎるところがありますからね」

 お祖母さんは、ルイを見て、目を細めた。
 やっぱり孫の活躍は嬉しいようだ。

 でも、ときどき苦しそうに深い息をついている。
 お顔の色も悪い。
 ルイが言っていた通り、かなり具合が悪そうだ。
 お休みになられたほうがいいんじゃないのかな?

 そんなことを思っていたら、ドアをノックする音が聞こえ、さっきのメイドさんがお祖母さんに薄手のケースを手渡した。
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