パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 車いすを押してもらい、お祖母さんはソファーのそばにやってきた。

「これをあなたに……」
 そう言って、わたしにビロード貼りの、そのケースを渡した。

 開けてよいのかどうかわからず、思わずルイのほうを見る。
 ルイは頷いてわたしを促した。

 黒ずんだ銀の掛金を外し、蓋を上げた。

 納められていたのは、真珠のネックレス。
 ジュエリーに疎いわたしでも、素晴らしい品だと推しはかれるような、なめらかな光沢のある大粒で粒揃いの……

「これはわたくしが母から形見として受け継いだものです。これからはあなたがお持ちなさい」
「そんな大切なもの。とてもいただくわけには」

 手が震える。
 だって、わたしには受け取る資格はない……

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