パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 ルイはわたしの脚をぽんぽんと叩いた。
「思いやりのある優しい子だな、薫は」
 
 その言葉のニュアンスで、彼がわたしの気持ちをきちんと理解していることが伝わってきた。

 なんでわかってしまうんだろう、この人には。
 わたしの気持ちの、とてもとても深いところまで。

 あ、また、芽が生えた。
 抜いても抜いてもきりがない。
 すぐに生えてきてしまう。

「よし。じゃあ、薫が元気になるようにいいところに連れてってやる」
「いいところって?」
 ルイはちらっとわたしを見て、ウインクして見せた。
「薫が行きたくて仕方がない場所」
「あ、わかった」

 それなら、あそこしかない。
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