パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「階段?」
「はい。でも、どうぞエレベーターで上がってください。向こうで待ち合わせれば」

 ルイはさも心外だという表情。
「じゃあ私も階段で行くよ。レストランの予約までまだ時間はあるし」
「あの……別に無理しなくても……痛っ」
 また、デコピンされた。

「おい、人を年寄り扱いするな。なんのために毎日ジムで鍛えていると思ってる。ん?」

 そう言うと、スーツの上着を脱いで肩にかけ、さっさと階段の入り口に向かっていった。

(本当に大丈夫かな)
 そう思いながら、わたしは彼の後を追った。
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