パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 でも、先に息が上がったのはわたしのほうだった。
 ルイのほうはまったく乱れず。

「すごい。体力あるんですね」
「当たり前だ。毎日激務に追われているんでね。これでも」
「ちょっと休憩しても?」
 ルイは、やれやれ仕方ないな、という顔をして、両手を広げて天を仰ぐ。
 そういう大げさな仕草は、やっぱりフランス人だ。

 第一展望台まで約400段。
 そこから第二展望台まで約700段。

 想像以上にきつかった。

 でも、思ったとおり。
 一段一段踏みしめるたびに、ついにエッフェル塔に来たんだという実感が大きくなっていった。 
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