パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

「ずいぶん遅くまで起きてるんだな、今日は」

 その日の深夜。

 いつものように帰りが遅いルイが、わたしの部屋から明かりが漏れているのに気づいて、声をかけてきた。

「どうだった? 学校のほうは」
「とっても良さそう。少人数制でじっくり教えてくれそうだし。香水の知識はあるからフランス語のほうもなんとかなりそう」
「そりゃ良かったな。あそこの学長はマダム・デュボアだよな」
「うん。ルイ、知ってるの?」
「ああ。挨拶をした程度だがな。父の知り合いだよ」
「へえ」

 わたしはドアのそばに立っているルイのほうに歩いていった。
「でね。今日、学長と面談したら、基礎知識があるなら、来週テストして合格すれば、初級はパスしてもいいって」
「ああ、それで勉強してたのか。えらいな」

 ルイはいつものように、わたしの頭を撫でた。

 そのとき、気づいてしまった……。
 ルイの香りのわずかな違いに。
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