パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 そのとき、また香ったのだ。
 ソフィアさんの香水が。

 わたしが気づいてないとでも思ってるんだろうか、ルイは。

 ったく!
 調香師志望者の嗅覚、なめんな!

「慰めてなんか欲しくない!」
 わたしはルイを思いきり突き飛ばして、自分の部屋に飛びこみ、鍵をかけた。
 そのまま、ベッドに突っ伏した。

「おい、薫?」

 ドンドンと2回ノックの音。

「薫?」

 ルイはしばらくドアの外に立っていたようだった。
 でも、そのうち、離れていく足音が聞こえた。
 

「ルイのバカ」
< 149 / 245 >

この作品をシェア

pagetop