パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 そのとき、廊下から大きな足音が響いてきた。
 わたしたちはみんな、一斉にその音に気を取られた。

 誰だろう?
 こんな夜中の、しかも病院なのに、あんな音を立てて。

 そして、やはり、まったく配慮なく大きな音を立ててドアを開け、入ってきたのは栗色の髪の、比較的小柄な男性。

 ルイのお父さん、ジャン・ベルナルドだ。
 ネットで〈ALPカンパニー〉を検索したとき、画像で見知っていた。

 ルイはわたしの背に手を当て、父親の前まで連れていった。
 ベルナルド氏は、わたしの頭からつま先まで視線を動かした。
 品定めする目つきで。
 ものすごい威圧感。
 その手で世界を手中に収めている自信がそうさせるのだろう。
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