パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

 病室に戻ると、看護師さんから「容体が安定されたから今日のところは心配ない」と言われた。

 ただもう少しの間、パリに戻らず近くにいたほうがいいだろうということで、ルイのご両親はベルナルド家の本宅、わたしたちは離れに泊まることになった。

 果樹園の脇に立つその離れは、元は使用人が使っていた小屋だったらしいけど……

 いやいや、これが小屋って。
 日本の基準でいけば、かなり広めの一戸建てといったところ。
 2階建てで、内装はモダンに改装されていた。

 そこに着いたのは午前2時ごろ。
 ルイとちゃんと話がしたかったけれど、くたくたに疲れていて、ベッドに横になったとたん意識は遠のいた……



「薫、起きてくれ」
 でも2、3時間後に起こされた。
「病院から連絡が来た。すぐ来いと」

 そして……
 ルイのお祖母さんは静かに息を引きとられた。
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