パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
***

 葬儀を終え、一週間後、わたしたちはパリのアパルトマンに戻った。
 荷物を片付け、リビングのソファーでお茶を飲んでいるとき、わたしはルイに言った。

「Louis(ルイ)、Je veux te parler.(話がしたい)」
「Oh, je veux aussi.(ああ、私もだ)」

 オルレアンにいたときはそれどころではなく、うやむやのままになっていたけれど、ちゃんとルイに説明してもらわなきゃ。
 ソフィアさんとのことを。
 そこをクリアしない限り、真の婚約者になんて、とてもなれない。
 
「Je suis sérieux、Kaoru.(私は本気だよ。薫)」
「C’est un mensonge.(嘘)」
「Ce n’est pas un mensonge.(嘘ではない)」
「Mais……(でも……)」

 あー、こんなとき、外国語ではもどかしすぎる。
 わたしは日本語に切り替えた。
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