パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
「もう知らない!」
 わたしはソファーから立って、キッチンに行こうとした。
 水でも飲んで気持ちを落ち着けなきゃ。
 もう、何がなんだかわからなくなってきた。

 するとルイはわたしの手を握り、ぐいっと引っ張った。
 ルイの膝にわたしの脚が触れる。
 彼は座ったまま、両腕を腰に回してきた。
 わたしを見上げる眼差し。
 その視線は真直ぐわたしの瞳を射抜いた。
 
「自分の気持ちに正直になってくれよ。薫。頼むから」
「でも……」

「薫が他の男と仲良くしているのが許せなかった。あんなに激しい嫉妬心を感じたのは生まれてはじめてだったよ」

 そう言って、真摯なまなざしを向けてくる。

 ……かなわない。ルイには。
 もう降参。
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